最高裁判所第一小法廷 昭和24(れ)453 判決
主 文
本件上告を棄却する。
理 由
弁護人中野義定、同秋山要、同伊藤利夫上告趣意第一点について。
賭博の常習とは、反覆して賭博行為をする習癖をいうのである。それは、必ずし
も所論のように一個の人間の第二の天性とまでなりきる程のものであることを要し
ない。本件記録によれば、被告人は、大正四年以来二回の賭博罪と五回の常習賭博
罪によつて合計七回処罰を受けている。そして、最後は昭和一七年六月一七日常習
賭博罪として懲役八月に処せられたものであつて、右最後の所刑後本件犯行時まで
の間に所論のように約五年三箇月の時の隔たりは存する。しかし、被告人のごとく
相当深く賭博の習癖に染まつたと認められる者が、五年三箇月賭博行為をしなかつ
たからと言つて―一層正確に表現すれば五年三箇月の間に賭博について所罰を受け
なかつたからと言つて―その習癖が自然的に消滅してしまつたと認定しなければな
らぬ実験則が存すると断定するわけにはいかない。殊に原審の証拠として採つてい
るAに対する司法警察官代理の訊問調書では「今度の博奕の盆(親方の意味)はB
のものと思つて居るとの旨の供述記載」があり、右Bは被告人であるから、原審が
さらに判示前科に照らし、被告人の所為を常習賭博と認定したことは実験則に反す
る違法があると言うことを得ない。論旨はそれ故に理由がない。
同第二点について。
所論のとおり事実関係がすべて認め得られるとしても、本件において執行猶予を
言渡さなかつたことが、実験則に反するとは到底認められない。論旨は理由なきも
のである。
よつて旧刑訴第四四六条に従い主文のとおり判決する。
この判決は裁判官全員の一致した意見である。
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検察官 竹原清太郎関与
昭和二四年七月一四日
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 真 野 毅
裁判官 沢 田 竹 治 郎
裁判官 斎 藤 悠 輔
裁判官 岩 松 三 郎
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